1. 銀行口座売買
銀行の口座売買とは、通帳やキャッシュカード、インターネットバンキングのログインIDや
パスワードを売買することです。正当な理由なく、銀行の口座売買を行った場合は、罪に問わ
れる可能性があります。これは有償の場合に限らず、無償で譲り受けたり、譲り渡したりする
場合も含みます。
2. 銀行口座の凍結
銀行口座を売却したことが捜査機関に発覚した場合や、実際に譲り渡した銀行口座が犯罪行為
に使われたことが明らかになった場合は、口座が凍結される可能性があります。口座が凍結され
ると、資金の引き出しなど、口座上で行うすべての取引が停止します。
3.なりすましによる口座開設
銀行口座売買によくある手口としては、他人がなりすまして口座を開設する手口が挙げられ
ます。口座開設には、印鑑や免許証・マイナンバーカードといった本人確認書類が必要です。
どの名前でも簡単に手に入る印鑑はさておき、本人確認書類が紛失や何らかの手口で他人の手
に渡れば、気付かないうちに自身の名義で口座開設されてしまう可能性があります。
4.振り込め詐欺救済法の概要
取引停止措置(口座凍結) 同法3条
金融機関が警察等の情報提供に基づいて、取引停止措置を講ずるためには、「犯罪利用口座
等である疑いがある」と認められれば足り、犯罪利用預金口座等であるという確証は要件とされ
ていません。そればかりか、犯罪利用預金口座等であることを「疑うに足りる相当な理由」も必
要とされていません。
そのため、非常に簡易・迅速に口座凍結を行えることになります。そして、口座凍結の主体が
裁判所や執行官といった公的機関ではなく、あくまで民間の金融機関であるところに特色があり
ます。
5.犯罪利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律
第3条1項は、犯罪利用預金口座であるとの疑いがある場合には、取引停止等の措置を講ずる
ことを金融機関に求めています。どのような口座は犯罪利用預金口座になるかについても、犯罪
利用預金口座等に係る資金による被害回復分配金の支払等に関する法律(以下、「振込詐欺救済
法」といいます。)で定義されているのですが、詐欺の被害金が振り込まれた口座であれば、名
義人が共犯者であるかどうかに関わらず、凍結の対象となる旨が定められているのです。
更に、「犯罪利用預金口座であるとの疑いがある場合」と定められていますから、そのような
疑いがある旨の通知が捜査機関等からあった場合には、本当に犯罪利用預金口座であるかどうか
の調査をせずとも、凍結の対象となってしまうのです。
振り込め詐欺(恐喝)に利用された預貯金口座の凍結(取引停止の措置)は、犯人による被害
金の引き出しを阻止し、新たな被害の発生を防止するという重要な意義を有していることから、
警察では、振り込め詐欺(恐喝)に係る相談、届出等を受けた場合は、事件性の有無を判断した
上で、迅速に金融機関に対して預貯金口座の凍結依頼をします。
6.口座の凍結と差押えの違い
・口座凍結とは、金融機関に開設している口座への出入金ができなくなる状態のことを指し
ます。警察等の情報提供に基づいて、詐欺による不正な資金の流れを止めるために金融機関が
口座を凍結する場合のほか、口座を開設している金融機関から借入れをしたものの、支払いを
長期間にわたって滞納してしまった場合、金融機関の判断により口座の凍結が行われる可能性が
あります。また、口座凍結は金融機関との契約によって定められているものであり、訴訟や支払
督促を経なくても実行可能な手続です。
・口座差押えとは、債権者が債務者の銀行等の金融機関への預金債権を行使できないように
して、強制的に債務者の預金口座から債権額を回収する手続です。差押えの場合、差押え時点の
残高から、債権額の分が金融機関によって別に管理されることになります。
口座凍結と異なり、差押えの後、口座を利用することは可能です。差押えの場合、前触れなく
行われることはありません。差押えは裁判所を通した強制執行の手続ですから、差押えの実行
までには訴訟や支払督促などの手続が行われることになります。
7.差し押さえ後の口座はその後も使えるか?
口座の差し押さえは、請求額を限度に行われるので、預金残高が請求額を上回っていれば請
求額以外は利用でき、入金もできます。給料の振込口座に指定されていれば、引き続き給料も
振り込まれます。